知って得するフィルムの世界

身近にあるのに意外と知らない、フィルムのあんなこと・こんなこと。
覗いてみたら、ちょっとだけ世界が変わって見えるかもしれません!

連載7

『プラスチックフィルムの製造と加工について』

プラスチックフィルムは、原材料のプラスチック樹脂を様々な方法でシート状に成型したものを巻き取って作られます(この巻かれた状態のものを原反といいます)。
原反は幅1m以上もあり、見た目はいわばキッチンラップのお化けのようなものです。
薄くて軽いプラスチックフィルムは、金属や木材に比べ加工がしやすいのが特徴です。

加工の基本「切る」「貼る」「塗る」

切る

プラスチックフィルムは薄いですから、カッターやハサミで簡単に切ることができます。
プラスチックフィルムの加工工場では大きなロールのまま細く切ったり、シート状にカットしたりすることができます。
これを、スリット加工・カット加工といいます。
また、抜き型やレーザーなどで指定の大きさや形に加工することも容易です。

貼る

プラスチックフィルムは他の素材と貼り合わせることができます。
貼り合わせる方法はいくつかあります。
1) フィルム表面に接着剤を塗布し、別のフィルムや金属箔を貼り合わせる方法(これを、ドライラミネートといいます。)
  全く異なる素材同士の貼り合わせや、3層以上に貼り合わせたりすることもできます。
2) 熱で溶ける接着シートとフィルムとフィルムの間に挟み、熱をかけて接着する方法
3) 熱で溶けるフィルムを直接加熱し、別のフィルムと貼り合わせていく方法。(サーマルラミネート)
4) フィルムに別の粘着フィルムを貼り合わせる方法。
身の回りでは、プラスチックフィルムと金属箔のラミネート品などが食品包装材として使われています。

塗る

プラスチックフィルムの表面に樹脂や粘着剤などを塗布し、新しい機能を持たせたフィルムを作ります。
これを「コーティング」といいます。

種類 説明
易接着コート フィルム表面に樹脂層を塗布し、インク等の密着を改善する
着色コート フィルム表面に着色剤入りの樹脂を塗布し、フィルムに色をつけます。
ハードコート フィルム表面に硬い樹脂層を塗布します。表面の傷つきを防止します。
粘着塗工 フィルム表面に粘着剤を塗布します。離型紙(セパレーター)がつくもの、離型紙がつかないタイプのものなどいろいろです。

その他の加工

その他にもフィルム表面への加工には次のようなものがあります。

種類 説明
サンドマット
(サンドブラスト)
フィルム表面に高速で細かい砂をぶつけ表面をマット調にする加工です。
表面はざらざらで透明なフィルムが白っぽいフィルムになります。
蒸着 金属などを蒸発させてフィルム表面に付着させ、
表面に薄膜を形成します。
代表的なものにアルミ蒸着フィルムがあります。
水蒸気やガスバリア性を生かして食品包装用などにも使われます。
ヘアライン加工 フィルム表面に細かいスジ状の模様をつけて、
メタリック調なフィルムをつくります。
家電や雑貨、自動車の内装パネルの表面に使われたりしています。
エンボス加工 凹凸のついたロールを加熱してフィルムに押し付け、
フィルム表面に細かい凹凸を形成します。
染色 コーティングによる「着色」と見た目は似ていますが、
フィルムに染料を含浸させて色をつける加工です。
着色よりも色の均一性に優れているといわれています。
コロナ処理
(コロナ放電処理)
プラスチック表面にコロナ放電処理をすると、
表面の親水性があがり、インク等の密着がよくなります。
フィルムの見た目はかわりません。

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